トリストTryst

クラブの基準からすると、Trystは成長するGen-X(アメリカにおいて、1961年から1981年までの20年間に生まれた世代)のようです。エレクトロニック・ダンス・ミュージックがテクノと呼ばれ、ディグウィードがダンスシーンを支配していた頃、彼らは他の物事の基準からすると子供と呼べるほど幼かった頃でもそれがどんなに偉大だったかを記憶しています。他のクラブが過激すぎたり、激しさが足りなかったりして、興隆と没落するのを見てきて、Trystは成功の鍵が強力な労働論理と魅惑への審美眼にあることを示しました。貴方の個人的な見方からしても、それらのことに異存はないでしょう。

Trystに向かうことは、奇妙な場所にぽっとできて、決して長続きしないとるに足らないクラブの一つに入ってしまうように感じます。しかし、事実はそうでなく、はるかに素晴らしいのです。足を踏み入れることは、何も語らないように思えますが、そうではありません。雄弁に語るのです。あなたは自分自身がラウンジにいて、そのフロアにしっくりと馴染んでいるのが分かります。上から見えるかなりの広さのスペースに開かれているそこは究極の場所です。あなたは誰かが降りてくるかを黙って見ながら、ボディランゲージでは「私を見なさい」と叫んでいるのです。しかし、それはまだ外のラウンジでのことです。あなたは、クラブのためにそこにいるのです。

Trystの内装は赤い天国のようです。そこでは、全ての色合いや形が流れ落ちる滝から吹いてくるそよ風に対比されるよう工夫されています。ダンスフロアを横切ったところにあるDJブースがそこに足を踏み入れたあなたを迎えるとともに、あなたは一瞬で外の黒い壁が本物の精巧な滝であることに気がつきます。あなたが、その壮大な光景を何回みても、それがラスベガス大通りからほんの20フィートしか離れていないということを思い浮かべるのは困難でしょう。

できるなら、滝のとなりの小さな窪みの席をとって下さい。通な人はそれがラスベガスのすべての中で最も官能的なクラブスポットの一つであることを知っています。もしそこがとれないか、或いは予算の範囲外なら、パティオの残りの部分で小さなラグーンを囲むスペースが同じようにロマンチックで寛げる場所としてよいでしょう。水に飛び込んではいけません、と言う必要がないことを望みます。それは15フィートの深さがあり、そこから出るには泳がなくてはなりません。そんなことは、トラブルの代償に値しません。説明をTrystの中へと戻しましょう。Trystは敷地内でうまく機能するようレイアウトされています。そのベストな部分はウィン/アンコールの妹であるXSをレイアウトする際のインスピレーションにもなりました。中央に位置するダンスフロアは誰からでも利用できます。中程のVIPテーブルからは多くの場所が見え、また、多くの場所から見られもします。そして、メインエントランスの両側の広々としたバーのエリアは飲み物に並ぶのに他人のつま先を踏むことなどありません。あなたがパーティーのことで悩んでいるとき、それはさほど重要なことには見えません。しかし、そのアーチ型のデザインによりあなたは自由にパーティーができます。そして、それはTrystが長らくラスベガスのクラブの中堅であることを可能とした多くの事柄の一つでもあります。

Trystの常連は少しだけ年配で、また数はXSよりも少ないかもいれません。しかし、Trystはラスベガスの最もホットなクラブの一つであり、一貫して新たでタフな競争を維持しています。あなたがデザインやミュージックや滝がベストなパートであることを見いだすかどうかについて、一つだけ確かなことがあります。それは、Trystはクラブとしての自らのアイデンティティを知っており、そのことを手本とされるのを待っているということです。